卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

2千万円で足りるのだろうか

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体が空洞になった老杉は支えがないと生きていけません(屋久島)

2千万円問題が騒がれています。

私も年金生活者ですので、当事者の一人として無関心ではいられません。
最初は、年金だけでは老後の生活資金が不足することは誰でも知っているはずだと思っていましたので、これほど騒がれるとは意外でした。

世の中の真実を教えてもらっても私は手遅れですから、なるべくつらい現実の話は避け、楽しく面白いことに目を向けるようにしています。

しかし、非正規従業員が38%、2000万人を超え、その75%が年収200万円以下と聞き、さすがに驚きました。

最低賃金が上がり、食品業界でパート確保が難しくなっています。
非正規従業員が4割というのに、なぜパート従業員の確保が難しいのかと思っていましたが、非正規が増えれば、その階層は生活の主体となる層ですから、従来のように夫の給料では生活に少し足らないという層ではありません。
生活の主体となる非正規ですから最低賃金はあげざるを得なくなります。

さらに今は、優良企業でも希望退職を実施しています。
かつては、希望退職を実施しないと経営が破綻するという理由が主でしたが、今は世界経済が先行き不安定であり、企業利益が確保されても将来はわからないから財務基盤を強めるためという理由です。

3000人近くの人減らしを実施する富士通始め、コカコーラジャパンHD、東芝、カシオ、中外製薬などの有名企業が並び1万人を超えるようです。
対象は45歳以上の人件費の高い層、一番生活費の必要性が高い層を狙い撃ちです。

社会の裾野が細って、食の分野で消費が伸びるわけがありません。
人口が減り、所得が減る。一番先に影響を受けるのが食の分野であり、中小の商店街・飲食業界です。

実体経済が衰退するのは言われなくともわかっているのでしょうが、人を切っても全体が衰退しても自分の企業の生き残りが先だという判断なのでしょう。
それが市場主義経済の自己責任です。

もっともこんな経営効率化ができるのは大企業だけで、中小企業は人員合理化どころか必要な人材確保すら困難になっています。

申し訳ないとも思いますが、私は戦争が終わった年に生まれ、戦後高度成長期に働くことができました。

歴史的には稀な時代に生きることができた我が身のラッキーをホッとする一方、同情する余裕はありませんが若い人の厳しさは大変だろうと思います。
つらい世の中になりました。