改正市場法下での市場機能の中心は物流の効率化によるサプライチェーンの効率化とバリュー化の実現である。
その物流効率化の一つの試みとして、群馬県の桐生市場を中心に海商水産と群馬丸魚、マルイチ産商の卸三社が共同配送に取り組んでいる。
実質的な事務局の役割を担っているのが、桐生市場の海商水産グループの桐生冷蔵である。
群馬県伊勢崎地方卸売市場は2019(平成31)年3月に15年間の無償貸与期間を終えるが、同一条件で3年間の延長が決まっている。
同じく桐生市場は公設地方卸売市場から指定管理者を経て平成21年に民営化しており、伊勢崎市場と同じ2019年3月に無償貸与期間10年が終了する。
3社共同配送のまとめ役となったのが桐生市場の水産卸「海商水産」(清水久弘社長)とグループ企業の桐生冷蔵である。
海商水産は民営化を契機に約8億円を投下し、冷蔵庫、低温卸売場棟を設置した。
低温売場は「海商水産FFC流通センター」(フレッシュ・フローズン・コールド) は2億8千万円をかけて建設されドックシェルター10基。
こうした温度管理施設が整備されたことを契機に、群馬県内で同じ量販店に納品している卸3社が話し合い、運送会社に委託して共同配送が実現した。
運送会社は、3市場からそれぞれ集荷して埼玉栃木、茨城、千葉、長野まで配送、運賃の負担は月末に法売上比率で計算し3社に請求する。
トラックは3社で約40台、3社が月1回話し合い、納品の帰りに集荷するなど積載効率を高めている。
これまで3社が個別に配送していたときは、1台で1日3万円かかっていたが、3社が共同することで1万円近くのコスト減になっている。
配送商品は鮮魚、冷凍、塩干加工品など全て。配送は10時、12時、2時の1日3回。夜10時までに入力し、間に合わない場合は夜中の2時くらいになる。
当初は1台で5店舗配送できていたが、最近はピースピッキングが増え、人材不足に加えて働き方改革もあって、5店舗あると2店舗と3店舗に分けて2台で配送せざるを得なくなっている。そうでないと8時までの店着に間に合わない。
5年目を迎えて桐生冷蔵を柱に共同配送のコーディネート機能を強化し物流の効率化を図っている。