卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

高齢化社会と人口増

若いころ、高齢の方から「何歳にみえる?」と聞かれて困った経験があります。

当時は、50歳以上は皆「年寄り」で一括りでしたから「関心ないし分かりません」と答えるわけにもいかず、いくつと言えば喜んでもらえるか真剣に考えたことを覚えています。

今、自分が他人から「おいくつですか、若いですね」と言われる歳になって、「いつ見てもさてお若いと口々に褒めそやさるる歳ぞ悔しき」という境地を思い知ることになりました。

現代は長寿化が進むとともに、肉体そのものの老化が緩やかになっていますから、若く見えるのではなく、現在の姿がその人の年齢相応なのではないでしょうか。

まあ「若いままでいる」という錯覚もあながち悪くはありませんが。この長寿化はどこまで進むのでしょうか。

平均年齢100歳時代がくるかどうか私は見ることが出来ませんが、こうした高齢化社会を実現させた最大の因は、医学の進歩による死亡率の低下と食糧生産の増加です。

西暦元年ころの世界人口は1億~2億人と推定されていますが1900年には約16億人となっていて、この間の年間人口伸び率は0.9%です。

そして1950年には約25億人、2000年には約60億人と、初めの50年間で9億人(伸び率0.9%)増え、後の50年間で35億人(同1.8%)増えています。
この1.8%で今後も増えると21世紀末には350億人になるそうです。

多分この数字は地球が拒否するでしょうし、遊びに近い机上計算というと不謹慎でしょうが机上計算であることは誰もが分かりますから大騒ぎにはなりませんが、いわゆる人口爆発問題は今も世界規模で論議されている課題であることは事実です。

21世紀の初めのころ、20世紀の反省として環境汚染・人間性の喪失・成長の限界等が盛んに論議され、シューマッハーによる「スローフードの提唱」等がなされてファストフードと並ぶ地位を得るようになりました。

21世紀の食糧問題はこうした反省の上にたち「持続的成長から持続可能な成長へ」という位置付けになってきました。

そして解決すべき課題が①飽食と飢餓~人口増の抑制は可能か、正しいか、②緑の革命と食糧の不平等配分、③食糧増産はどこまで可能か、④食糧安全保障の考え方、④農業保護政策の見直し等です。

現在の政府は、グローバル化と規制緩和による経済活性化を柱にしており、食糧分野では食糧安保と農業保護政策が見直されつつあります。

農協、卸売市場流通に対する規制緩和や、TPP(環太平洋パートナーシップ)の取り組みは、こうした視点に立った国家としての基本的な戦略です。

この方向が正しいのか、また実現可能なのかは議論のあるところだと思いますが、これらはまた別の論点です