卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

大阪府中央市場指定管理者、1億円の利益確保

改正市場法では行政関与の減少と開設自治体による公共性、市場会計の健全性が求められている。

大阪府中央卸売市場が全国に先駆けて導入した指定管理者制度は、行政と業界の連携、効率性と公益性の両立を安定して維持しており、改正市場法の下での公設市場の運営に責任を持つ経営体として、典型的な成功事例となっている。

平成24年4月に中央市場として初めて指定管理者を導入した大阪府中央卸売市場の指定管理者「大阪府中央卸売市場管理センター(株)」(以下・管理センター)は、第二期(H29〜33年度)の初年度となる平成29年度を終えた。

第一期(平成24〜28年度)でも毎年1億円を超す資金を活性化、施設補修に投資しているが、このほど発表された平成29年度の収支は、使用料等の事業総収入は16億7200万円、この収入から市場活性化事業に7千万円、修繕費に6千万円、大阪府に6億3100万円納付となり、第一期を上回る収支を実現している。

一年間の主要な取組事業

管理センターが取り組んだ平成29年度主な事業、施設管理・運営面での収入確保とコスト減の取り組み、及び活性化の主要な事業は次のとおりである。

施設管理・運営事業での収入確保とコスト減

  1. 利用料金等債権管理を徹底、滞納者へは即日催告し滞納ゼロに。
  2. 未利用地の活用では2階プラットフォーム等の有効活用や不法占有車両の排除と有料区画への誘導等によって収入増を図った。
  3. 開設者と連携し市場業者の直接集荷に対する適正な深刻指導の徹底を図ることによって売上高126億円の使用料3,145万円を確保。
  4. コストであったプラ製廃棄パレットや鉄くず等を有価物として売却。
  5. 不法投棄抑止のための防犯カメラ増設、分別収集の徹底で不法投棄は取組前より約90%削減した。
  6. 1600万円のコストだった魚あら処理費を前年度に引き続きゼロとした。
  7. 新電力導入により場内電気代を6,400万円削減した。
  8. これらの結果、場内から排出される廃棄物の排出量は、指定管理者導入前の平成23年度に比べて半減、前年度比でも2割減である。この結果、処理費用は平成23年度比で6,300万円、前年度比で1,300万円の減となった。

これらの施設管理・運営面での取り組みによって、平成29年度は当初予算額よりも約5,600万円の新たな資金を捻出することが出来た。

そして、こうした収入増・コスト減の努力の結果として得られた収入を、施設の修繕費5,000万円と活性化事業5,800万円に還元した。