卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

トータル物流の時代

市場流通の世界では、水産と青果、花を1社で扱う運送業者は少ない。
それは法的に規制されていたからではなく、商品特性から一緒には取り扱えないという考え方で、サプライチェーンは別個につくられていたからである。

ところが築地市場にある「永井運送」は最近、花き流通のトップ規模になり、花き共同荷受施設を業界から要望されているという。

驚く方がおかしいのかもしれないが驚いた。そこで市場内の事務所に伺い永井社長の話を伺った。

永井運送が水産と青果、花の三業種を扱うのはグループに東海汽船があるからで、伊豆諸島から水産物を運ぶのならば、農産物や花も一緒に扱うのが当然である。

「市場法の規制緩和を見込んだ経営戦略といったものではありません。やらざるを得なかっただけです」と永井社長は笑う。

離島対策で港湾局の土地を特別に借り営業していたが、使えなくなり平成21年に移転し「お台場物流センター」を建設、敷地面積1,000坪、建物700坪と拡大されたことで一気に全国の流通拠点として注目を集めることになった。

公共性から効率性への転換は時代を追い風として活用したからである。

なぜ花か、についても簡単で、水産物は築地に運べばいいだけだが、花はそうした受け皿が弱かった。
とりわけ花の鉢物は重量もあり、産地・生産者も細かく分かれていることから、品質管理と物流の効率化を図る共同荷受の必要性は強まっていて、お台場物流センターがそうした機能を果たすようになった。
経済が伸びているからではなく低迷しているからこその需要拡大が生まれたのである。

2018年10月11日に開場する豊洲市場は、築地では必要性が強調されながら出来なかった物流機能のために、新たなステージを用意して待ってくれている。

そこに改正市場法の追い風がさらに強くなる。「チャンスだと思っています」と永井社長はいうが、それは当然だろう。

改正市場法で出された「情報・物流・安全・輸出」の柱が物流機能であることは明らかである。

また求められているのは「物流」ではなくサプライチェーンをマネジメントできるノウハウである。

生鮮流通主体のSCMには、規模のメリットだけでないノウハウが求められる。 

そうしたノウハウは、正門業者と呼ばれる築地市場の運送業者で組織されている「輸送協力会」が築地市場の歴史と共に蓄積している。

豊洲市場の開幕は単に豊洲だけでなく市場の物流機能が新たな発展をとげるきっかけになるだろう。

永井運送の取材をしながら、市場業界がトータル物流機能をどう活かすか、委託ではなく連携の課題も出るだろうと感じた。