6月14日の参院農林水産委員会において、卸売市場法と食品流通構造改善促進法改正案を付帯決議付きで採択し、翌15日の参院本会議で可決成立した。
付帯決議は法律の重要な変更の際によく出されるもので、今回の改正法は、民間も中央市場開設が認められることから国による公共性の維持や市場関係者の十分な意見聴取による共通ルールの策定など公正取引への国の指導監督の強化を求めている。
卸売市場の公共性がなぜ問題になるのか。
それは公設市場を運営する市場会計に大きな影響を与える可能性があるからである。
それではなぜ公共性が市場会計に大きな影響を及ぼすことになるのか。
公設卸売市場の市場会計は、大きく分ければ市場業者が負担すべき使用料と自治体が負担すべき一般会計操出がある。
「市場会計の健全性」といわれる場合の健全性とは、本来、市場業者の使用料収入が、一般会計からの繰入金を除いて、赤字となるのか黒字なのかを判断することなのだが、近年はこの区別をせずに「自治体からの繰入がこれだけある」という議論が多い。
しかし、自治体からの一般会計操出は、市場会計の赤字を補填することだけを目的とするものではなく「市場使用料収入をもって充てることが適当でない経費及び能率的な市場運営を行ってもなお市場使用料収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費」を控除して算出する。(地方公営企業法)
「市場使用料収入をもって充てることが適当でない経費」がすなわち一般会計操出基準であり、これは農水省ではなく総務省から出されている。
現在の一般会計操出基準は営業経費の30%とされているが、多くの自治体は、この基準を下回っている。
それでは開設自治体が負担すべき経費とはどういうものか。
地方自治法、地方公営企業法等に規定されているが、業者の指導監督等に要する経費(行政監督経費)として、自治省の操出金通達は次のようになっている。
「現場取引、卸売人の業務及び経理等に対する指導監督、その他流通改善対策等に要する経費」
- 卸売業者等指導監督
- 業務許可指導
- 現場指導監督
- 取引改善
- 価格安定対策
- 統計情報
- 市場整備・管理運営企画
- 市場運営等の業務に要する経費(例えば流通改善対策等に要する経費)
これらの経費を算出すると30~40%になると試算されており、市場会計の健全性がそれほど深刻であるとは思えない。
一般会計操出よりも大きな問題が市場の土地・建物の建設費の償還分の二分の一補助で金額的にはこの方がずっと大きい。
改正市場法施行時にはこの二つも検討される。