卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

2020-01-01から1年間の記事一覧

私の好きな美術館−その8棟方志功記念館、上原美術館ほか

伊豆の山々から風を受ける「風と少女」(上原美術館の庭の彫像) わだばゴッホになる 言葉の達人、井上ひさしは故郷東北の言葉をとりわけ大事にしたが、いわゆる東北弁で最も有名な言葉は棟方志功の「わだば ゴッホになる」だろう。 しかし今、志功を「日本…

食料自給率の考え方−コロナウイルスと食料安保3

小泉大臣はなぜ非難されたのか いつだったか、小泉環境大臣が国際会議に参加した際、前日にステーキハウスに行ったことを環境保護団体から批判されたことがあった。ステーキを食べることと環境保護はどう関係あるのか、すぐには分からなかったのだが、おそら…

カーネーション売れる−コロナ禍での母の日

母の日プレゼントはこんな花も嬉しい イベントや冠婚葬祭などで花の需要は大きい。今年は花の消費も落ちていると思ったが、母の日のカーネーションが数年ぶりに良く売れたという。県を超えた移動自粛の影響で、帰省できなかった人たちが花を贈った影響だろう…

開設者が決定的な役割−改正卸売市場法下における市場開設者のあり方

市場活性化への開設者のあり方が模索されている(横浜南部市場) 2020年6月21日に施行される改正卸売市場法は開設者のあり方にどのような変化をもたらすのだろうか。改正卸売市場法の施行は、市場のあり方の変化だけでなく、開設者のあり方、役割をも劇的に…

私の好きな美術館−その7佐川美術館(滋賀県守山市)、MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市)

佐川急便創業40周年に開館した佐川美術館(竹中工務店設計施工・同館ホームページより) 関東に住んでいる人にとって、滋賀県はあまり馴染みがないだろうと思います。私は仕事でよく行きました。関西の中でも存在感が薄いようで、昨年ブレイクした漫才の「ミ…

私の好きな美術館−その6箱根と熱海 MOA美術館(静岡県熱海市)、箱根美術館など

岡田茂吉イズムの結晶、箱根美術館(ホームページより) 箱根と熱海は全国的に最もよく知られている温泉地の一つである。 箱根は山、熱海は海でどちらも魅力的な土地柄なのだが、文化的な面では違う、箱根は魅力的な美術館が多いが、熱海はMOA美術館以外に見…

種苗法改正案は見送り−コロナウイルスと食料安保2

「知床晩鐘」三上市太郎・撮影 種苗法改正案の見送り理由について 黒川東京検事長の賭けマージャン問題など騒然とする中で2020年5月20日、突然、自民党森山国対委員長が国会に上程されていた種苗法の今国会成立の見送りを発表した。 種苗法については、いろ…

国会上程された種苗法改定案−コロナウイルスと食料安保1

種苗法の何が問題なのか 新型コロナウイルスの対応に追われている今国会に、日本の食料安全保障に大きな影響を及ぼす種苗法の改訂案が上程されている。 この改訂案はイチゴ等の優良品種の海外流出を防ぐことが法目的とされているが、同時に品種の育成者権を…

私の好きな美術館−その5三岸好太郎美術館・三岸節子記念美術館②

織物工場をイメージしたノコギリ屋根の美術館(三岸節子美術館ホームページより) 芸術家は自分勝手である 三岸節子美術館は、愛知県一宮市の生家跡地にあるノコギリ屋根の美術館です。写真は大きく見えますが、それほどではありません。 この美術館は生家の…

【寄稿】緊急事態だからこそ取り組める−卸売市場でドライブスル-販売を活用しよう

2020年4月25日N H Kで放映された高崎市場のドライブスルー販売 先に紹介した卸売市場におけるドライブスルー販売は各地市場に広がりつつある。 4月25日に実施した高崎市場の「関越冷蔵」米桝 秀二専務がまとめた高崎市場の取り組みと呼びかけを紹介する。 …

私の好きな美術館−その4三岸好太郎美術館・三岸節子記念美術館①

好太郎が設計したアトリエのイメージ、道立三岸好太郎美術館ホームページより 札幌は憧れの地 九州育ちの人は、たいていが富士山と北海道に憧れます。 私は新幹線に乗るといつも「今日は富士山が見えるだろうか」と新横浜を過ぎると緊張し、見えると嬉しい、…

卸売市場のドライブスルー販売広がる

高崎市場のドライブスルー販売(2020年4月26日付け上毛新聞) 卸売市場のドライブスルー販売方式が広がっている。 明石市場、川崎南部市場、高崎市場などで始まり全国的に広まりつつある。 いずれも公設地方市場で、外出自粛で売上が急減している卸売市場業…

私の好きな美術館−その3大原美術館

野付半島(写真)三上市太郎 好きな美術館に優劣はない しかし、いつでも何回でも行きたい美術館として、まず頭に浮かぶのが岡山県倉敷市の大原美術館である。 規模的には東京の美術館やMOA美術館の方が大きいし、個人的には画家個人の記念館の方が好きであ…

開設者が決定的な役割−改正卸売市場法下における市場開設者のあり方

市場活性化への開設者のあり方が模索されている(横浜南部市場) 2020年6月21日に施行される改正卸売市場法は開設者のあり方にどのような変化をもたらすのだろうか。改正卸売市場法の施行は、市場のあり方の変化だけでなく、開設者のあり方、役割をも劇的に…

私の好きな美術館−その2

鏑木清方記念美術館 鎌倉の小町通りに案内があるが分かりにくい 好きな美術館は、前回あげた以外にもたくさんある。 中でも日本一美術館が多い長野県は、諏訪湖湖畔の小さな美術館や山下清美術館(茅野)、ちひろ美術館(安曇野)、禄山美術館(安曇野)など…

東京市場卸の平成30年度経営状況−水産、青果、花きいずれも減収減益

平成30年度東京市場卸 販売数量・売上高及び収益状況 水産 前年比 青果 前年比 花き 前年比 取扱数量 37万8千トン 93.60% 1,936トン 97.90% 151万本 95.90% 取扱金額 4,700億円 96.90% 5,374億円 94. 80% 808億円 98.80% 売上総利益 219億円 98.60…

私の好きな美術館−その1

前回掲載した写真は20世紀最大のイタリアの彫刻家ジャコメッティである。日本の哲学者矢内原伊作と親交がありモデルとなった。 ジャコメッティは、見た通りに対象の本質を彫る。そうすると、どんどん小さく細くなっていく(実際小さな彫刻が多数ある)。彫刻…

【時は来た】食料備蓄について語ろう!

ジャコメッティ 【時は来た】食料備蓄について語ろう!【コロナ対策】 このタイトルは2020年4月6日の5チャンネルスレッドである。これまでも何回か、新型コロナウイルスによる食料自給率の重要性について書いたが、「時は来た、食料備蓄について語ろう」…

Fish Moonを見た

緊急事態宣言が出た2020年4月7日の夜、今年最大の満月スーパームーンを見た。 ピンクムーンとも呼ばれるらしいが、これはピンクに見えるからではなく、4月はピンクに咲く花の季節なのでピンクムーンと呼ぶそうで、確かにわたしの老眼からも色は見えなかっ…

高崎市場、使用料50%減免

高崎市総合卸売市場は、新型コロナへの市場業者経営支援として、全業者を対象に2020年4月、5月の市場使用料を50%減免する。当面2ヶ月とするが、新型コロナの収束状況を見ながら2ヶ月後再検討する。 高崎市場は準公設(第3セクター)市場で代表取締役は…

コロナ感染者発生時の対応

下のチラシは農水省ホームページに掲載されている新型コロナウイルス感染予防対策についての概要である。 プリントして掲示するなど活用されている。 また新型コロナウイルス感染症による企業への経営支援策も発表されている。 支援内容は、金融支援措置、雇…

卸売市場の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応

東京11中央市場が見学中止延期 2020年2月29日から3月31日まで中止されていた東京都中央卸売市場11中央市場の見学は、新型ウイルスの感染者増加を受けて4月12日まで延期する。 見学中止は特に一般消費者の利用を重視している各市場の関連業者・飲食店に深…

時の流れは速くも遅くもなる

子どもの明日は遠く、高齢者の時の流れは速い。楽しい時と苦しい時も時の流れは違う。コロナの収束を待つ日々は長い。 国立市に住んでいた頃、なかなか来ないバスを待って長い列がイライラしていると、後ろにいた若いカップルの男性が「見ていても見なくても…

市場業者への支援も緊急課題

2020年3月18日午前11時 築地場外市場 卸売市場認定申請は2020年6月21日まで後3ヶ月となったが、新型ウイルス騒然の中で卸売市場業者は、新型ウイルスへの対応に加えて急激な売り上げ低迷に追い込まれている。 様々な「自粛」で外食店やホテル、観光、交通…

ホトトギスが鳴きだした

不要不急の存在として、このところ自宅で所在なく過ごす日が多くなった。 過日、隣の雑木林から突然「ホーホー」「ケキョケキョ」という啼き声が聞こえた。ウグイスだろう。聞き違いではない。ウグイスは最初から「ホー ホケキョ」と鳴くことができないので…

食糧安保の重要性高まる

新型ウイルスは収束の気配がない。 今回の新型ウイルスは、経済構造としてのサプライチェーンを他国に、しかも一カ国に依存している危うさ、リスクの高さを象徴的に示すものとなった。 安倍首相は新型コロナ対策の一つとして「中国などから日本への製品供給…

開設と業務の分離−京都方式か東京方式か

地再整備を行なっている京都中央市場第一市場 開設自治体の条例で対極をなすのが京都と東京である。別表を見るだけで明らかだろう。 各々の業務規程は、改正市場法後の卸売市場のあり方、とりわけ行政が責任を持つ公設市場の開設者としてどうあるべきかとい…

「ゴホンといえば龍角散」では間に合わない?

豊洲市場で開かれる予定だった公設協、3セク協、全民協の合同セミナーが新型ウイルスの影響で延期になりました。 先週、倉敷と松浦、長崎に行きましたが、岡山ではほとんどマスク姿を見ません。たまに観光客らしい方のマスク姿を見ますが、地元では全く話題…

民営化2期連続増収増益−卸3社体制となった栃木県南市場

民営化二期目を終えた栃木県南卸売市場の開設会社「荒井商事」が二期連続の増収増益を実現した。 改正市場法下で市場経営の困難さは増すだろうと思われている中で、公設から民営化の受け皿となった開設会社が二期連続の増収増益となったことは特筆に値するだ…

「市場の常識を疑う」櫻田光雄 沼津中央青果社長講演

櫻田光雄 沼津中央青果社長(全国青果卸売市場協会 副会長) 「改正市場法時代をどう生き抜くか」をテーマに行われた、全国青果卸売市場協会と全国魚卸売市場連合会の合同研修会における櫻田光雄 沼津中央青果社長の講演を紹介する。 近年、市場業界育ちでは…